ハラスメント加害者ヒアリングのコツ

東京は、師走の声を聞いて、いよいよ冷え込んできましたね。
コロナがいったん終息したかに見えるので、
(新しい「株」が出現しましたけど)リアルの忘年会など
チラホラお誘いが来ます。

バイクは、寒いけれど相変わらず乗っていて、
その為の筋トレも、週3回やってます。
今は、マシン15分+早歩き15分+ストレッチ15分というメニューを
近所のジムでこなしてから出勤。
やっと3年たちました。

さて、このメルマガも、メンタルヘルス中心だったものが
すっかりハラスメントに関することが多くなりましたね。
ビジネスマンのメンタル不調の原因の約半数が
会社での人間関係によるもの、というわけで、
人間関係といえば、やはりハラスメントか。。。とあたりを付けて
書いてますが、やはり反響は大きいですねえ。

折しも、改正労働施策総合推進法が施行され、
いよいよ中小企業にも来春から、
となると一層気にされる企業もおありでしょう。

本日は、人事の皆さんが(たぶん)苦手とする
行為者(加害者)ヒアリングのコツを書いてみたいと思います。

被害に遭った人から相談を受けるよりも、
行為者と向き合う方が、緊張するかもしれませんね。
特にパワハラは、その名の通り「パワー」を持った人、
つまり自分より偉い人である可能性もありますから。

そんな時にも、臆することなく聞くべきことは聞き、
安全に事案を納めなくてはならないのですから、
ご担当の方の苦労はいかばかりか、と思います。

私は顧問先において、加害者ヒアリングを代行することも少なくないので、
その経験を活かしたアドバイスを皆さまに差し上げたいと思います。

まず、基本的なことですが、最初から最後まで、
ほとんどすべてを質問で行ってください。
ヒアリングですから、質問に決まってるんですが、
人によってはツメたり、諭したり、になってしまったりするようです。

質問と言っても、
「どうして、あんな言動をしたのですか?」という言葉は相手を追いつめます。
そもそも、人が行うことのすべてに理由がある、というわけではありません。
もののはずみ、ということも多いのです。
こちらが狙うのは、事実確認と加害に対する反省ですので、
言動の理由は、そんなに大切ではありません。

相手を加害者と決めつけず、
まずは時間を取ってくれたことにお礼を言い、
「最近、部署の雰囲気はどうですか?」「お仕事はいかがですか?」など
相手の状況を尋ねる質問から始めましょう。
ここでいきなり、部下の無能さや、上司のパワハラについて愚痴り出す人もいますので、
それも十分聞いてあげましょう。
とにかく、相手が喋りたいだけ喋らせるのがコツです。

ここまでで、約30分間。

相手がいったん一息入れたのを見計らって、
相談者からの訴えを5W1Hに沿って話し、間違いありませんか?と確認しますが、
そのまま認めることは、ほとんどありませんので、
ここで改めて、加害者の言う「事実」や、その背景、その時の気持ちなどに耳を傾けます。
多少つじつまが合わなくても、気が済むまで言い訳させてあげるようにします。

あいづちは、そうですか、ははぁ、それは大変でしたね、など
否定語を使わず、どんどん話をさせるように心がけます。
すると、最初は反抗的だった相手も、だんだん表情が和らいでくるのがわかります。
ここまでくれば、もう一息!と思って、
「あなた、やっぱりやりましたね」などと畳みかけたりしないでください。
刑事ドラマでもそうですが、人は、信用する相手にだけ告白するものです。
時間をかけましょう。

ここまでで、約60分かかります。

時間がきたら、「では、今日はここまでにしましょう、続きはまた次回」
と切り上げます。
相手に「けっこう話を聞いてもらえるんだな、もっと絞られるのかと思った」と
感じてもらえれば成功です。
何よりも、素直な気持ちになってもらえなければ、
事実を認めて反省してもらう、というゴールが遠のいてしまいます。

また、60分を超えると、話が混乱したりしますし、双方疲れます。
疲れると、結論を急ぎたくなり、それまでの信頼関係を台無しにしてしまうことも。
回数を重ねることによるメリットとして、
信頼関係が生まれる他、もし嘘をついているとすると、
つじつまが合わなくなってくるので、見抜くことができる、など
テクニカルな理由もあります。

途中で30分、60分と書きましたが、
タイムマネジメントは、非常に重要です。
慣れないうちは、簡単なシナリオやタイムテーブルを書いておくのもいいでしょう。
相手も見えるところに時計を置き、
最初に「本日は、60分間頂きますね」と言っておいて始めます。
すこし中途半端でも、必ず時間を守ること、これが大切です。

ここまでお読みになって、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、
傾聴スキルを習得している人と、そうでない人では、
結果に大きな差が出ることは、言うまでもありません。
あらゆるフェイズに役立つ傾聴スキル。
ぜひ、学んで、日々実践しましょう。
家族も、職場も、楽しさが2倍になりますよ。
このスキルを使ったとたん、相手の表情が素敵なものになりますから。

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