過重労働者の医師面接は必ず必要か?

読者の皆さん、こんにちは!
いつも企業の健康管理を考えている
メンタルヘルスケアのアドバイザー、根岸勢津子です。

東京労働局の調査によれば、
過労死などを発生させた企業のうち
およそ4割が、健康診断の未実施、
およそ4割が、健康診断は行っていたが
有所見者への事後措置の未実施であったそうです。

また、およそ6割は36協定を超えて働かせるなど、
違法な時間外労働の実態が見られたとのこと。

皆さんの事業場では、
もちろん健康診断の100%実施、
有所見者への事後措置100%実施、大丈夫でしょうね!

99%行っていても、だめですよ。
残りの1%に何か起きたら、
企業は抗弁できないわけですから。

法に則った健康診断の実施ルールを知りたいという方は、
このメールに返信でお知らせください。
資料を送ります。

それでは本日のメインテーマへ、GO!

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■ 過重労働者の医師面接は、絶対に必要か?
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皆さんの会社では、
一定以上の残業した人を、医師と面接させるルールがありますか?

本社には産業医がいるから、面接させているけど、
遠く離れた拠点の残業者には、手が回らない・・・

そんな声をよく聞きます。

しかし、離れてるからって、
医師面接しなくていいとは、法律に書いてありません。

ましてや、過重労働が労災認定のポイントとして
かなり重要視されるようになった今、
人事部門では、どのように医師面接の仕組みを構築したらよいのでしょう。

まず、法律を読むと、
月100時間以上の時間外労働をさせた者は医師面接、とあります。

ここで言う時間外労働とは、週40時間(1日8時間)を超える
労働を指します。
企業独自に定めた労働時間ではありませんので、注意。

また、更に法律をよく読むと、
100時間以上の時間外労働をし、かつ疲労の蓄積が認められた者、
とあります。

そして更に・・・
面接の申し出は、従業員本人が行うこと、と書いてある!

では、月に100時間以上の時間外労働をしても、
疲労の蓄積が認められず、
本人も希望しない場合、何もしなくていいのか?

それは違います。
法は、もっと深読みしなくてはなりません。
面接の申し出は本人がする、という部分ですが、
そもそもこのルールを従業員が知らなければ
面接を申し出ることもありませんから、
まず、そこを問われます。

皆さんの会社では、
残業して疲れたら、産業医と面談できるルールが整っていることを、
全従業員に周知できてきますか?

色々な判例を勉強すれば理解できることですが、
企業は従業員に安全配慮の義務を負っているため、
たくさん残業させたら、それなりに、気を使わなくてはならないのです。

また、気使っていることを、客観的に表現しなくてはなりません。
ですから、少なくとも、
「体調はいかがですか?」
「いつでも医師と面接できる体制がありますよ」
「医師と面接して下さるよう、強く要請します」
等のメッセージを発信しなくてはなりません。

そもそも、残業は会社の命令で行われるものですから、
命令しておいて、体調の心配をしないのはケシカラン!というわけです。

誰も頼んでいないのに、
ダラダラと会社に残り、
電気を無駄遣いしているようなダメ社員は別として、
厳しい景気の中、乏しい人材で
懸命に業績向上のために残ってくれている社員に対して、
企業は、「目に見える配慮」を行う必要があるのです。

具体的に言えば、80時間超えは強制面接。
60時間超えは問診票を提出させてそれを産業医がチェックなど、
いくつものバーを設けて、
不調者の早期発見に努めて下さい。

離れた拠点における医師面接のことは、また次回書きます。

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