どうなる、メンタル対策の法制化!?

昨年の秋から、色々なメディアで話題沸騰した、例の件。
一般の人にとっては大したニュースではありませんが、
企業で人事・労務を担当する人には大事件ですね。

そうです、メンタルヘルスケアの法制化。

小宮山厚労大臣が労働安全衛生法の改正を国会に提出し、
法案が通れば、2012年秋から実施か、と言われていました。

残念ながら(と私は思いますが)
次の臨時国会に持ち越し、となりましたが、
まあ、九部通り法案は通りそうですので、
ここで一度、内容を復習しておきましょうね。

皆さまの会社では、この法案にのっとった
運用は、どうしたらいいのか・・・
それを考えながら読んでみて下さい。

【以下、提出された改正案の概要】
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厚生労働省は、職場におけるメンタルヘルス対策の強化を盛り込み、
あわせて事業主に受動喫煙防止対策の実施を義務化する
労働安全衛生法改正案をまとめた。
改正法案は、12月2日に第179回臨時国会に提出されたが
審議に至らず、次期通常国会に持ち越された。
法案が成立した場合、
施行期日は、公布の日から起算して1年以内が予定されている。

また、精神障害の事案に関する労災認定の審査には
平均して約8.6か月の期間を要していることなどから、
審査の迅速化が不可欠であるとして、
セクシュアルハラスメントによるものも含め
精神障害に関する労災認定基準の見直しを行った。
新基準が2012年4月から適用される予定である。

【1】 労働安全衛生法の改正法案の主な内容

(1)メンタルヘルスチェックの義務化

改正法案では、

(ア)医師または保健師による労働者の
精神的健康の状況を把握するための検査(メンタルヘルスチェック)
を行うことを事業者に義務付けるとともに、
労働者も検査を受けることが義務となる。

(イ)検査の結果を通知された労働者が
面接指導の申出をしたときは、
医師による面接指導を実施することを
事業者に義務付ける。

(ウ)事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、
必要な場合には、作業の転換、 労働時間の短縮
その他の適切な就業上の措置を
講じなければならないこととする、などとしている。
(「精神的健康状況を把握するための検査と面接指導」参照)。
なお、厚生労働省は、今回の改正に併せ、
取り組みを円滑に行うため、
地域の医療機関など外部専門機関との連携を促進する方針である。

(2)職場の受動喫煙防止対策の義務化

~省略します~

【2】 精神障害の労災認定基準の見直し→■これはこの春より施行決定しています

(1)160時間超の時間外労働、労災の認定基準に

臨床経験上、発病直前の1か月に
おおむね160時間を超えるような時間外労働を行っている場合や、
発病直前の3週間前におおむね120時間以上の時間外労働を
行っているような場合には「心身の極度の疲弊、
消耗を来し、うつ病等の原因となる場合」に該当するものとされ、
これが新たな労災認定の基準となる。

(2)セクハラに関する基準の見直し

今回の精神障害の労災認定基準の見直しにあたっては、
セクシャルハラスメントによる精神疾患を
労災認定に結びつけやすくする見直しも行われる。
強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などは
その出来事だけで心理的負荷の強度を「強」と判断できる
「特別な出来事等」に該当することを定める。
また、職場での平均的な心理的負荷の強度3段階のうち、
セクシュアルハラスメントについては中程度と評価しているが、
継続的な身体接触など悪質なケースを例示し、
そのような出来事あった場合は、
心理的負荷の強度を高めるよう改める。

参考:「精神障害の労災認定基準に関する専門検討会報告書」(2011年11月8日)

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概要は、ここまで。

いかがでしょうか。

【1】は、これから審議ですが、
【2】は、この春から施行が決定しています。

要注意ですよ。

【1】は、企業に新たな負担を強いるもの、
【2】は、明らかに企業のリスクを増大させるルールと
言わざるを得ません。

普段から、私は、
『従業員の健康管理はリスクマネジメント』と言っておりますが、
抑えるリスクは小さければ小さいほど、
それにかけるコストや時間も少なくて済むわけです。
しかし、今回の改正案では、リスクが増大し、
そのリスクをコントロールするために、
人事部門の方は、今まで以上に、
労力を使うことになるかもしれません。

調べによると、
メンタルヘルスに取り組んでいない事業所は66.4%を占め、
取り組んでいない理由として、
「専門スタッフがいない」(44.3%)、
「取り組み方がわからない」(42.2%)を挙げているそうです。
(厚生労働省「平成19年労働者健康状況調査」)

人間、やり方のわからないことや
やる人が見つからないことは、
後回しにしがちですもんね。

今回の改正法案が成立すれば、
事業者にとっては、ストレスチェックの費用
(調べるのは医師や保健師と書いてあるので)などがかかります。

また、様々な体制整備も強いられるでしょう。
検査(メンタルヘルスチェック)の費用負担が課されるほか、
面接指導の結果、必要な場合には就業上の措置を
講じなければならないなど責任は重くなる一方です。

これらを守らなくては、安全配慮義務違反となるのでしょうか。

また、休職~復職ルールの見直しも必要となるでしょうね。
さらに、160時間/月超えは、一発労災認定に等しいため、
労働者の労働時間管理の方法の見直しや
労働時間数のチェック強化に留意が求められましょう。

特に、管理職の労働時間が把握できていない企業は要注意ですね。
裁量労働、みなし残業、直行直帰、
こういった営業マンも落とし穴になりやすいです。

注意して下さい。

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