メンタル不調で休職していた人が、会社に復帰するとき、
御社では、どのような基準を作っていますか?
復帰させる手順書(復職プログラム)が整備されている企業でも、
復職の可否に関する基準を明確に設けている企業は、多くありません。
メンタルヘルスケアの指南書では、
「主治医の診断書を鵜呑みにするのは危険、産業医に聞け!」
とありますが、果たしてそれは正しいのでしょうか。
私は、少し疑問を感じます。
十分な情報が得られてこそ、
産業医も確かな判断ができると思うのですが、
主治医からの診断書は、
「軽作業から可能」とか、
「出勤は可能だが、営業は無理」とか、
企業が戸惑うような表現が多いのは、皆さんご存じのとおりです。
そんな状態で産業医に相談しても、
専属産業医以外では、各部署の業務内容全てに明るいわけでないので、
主治医の診断書に、自信を持って可否を言えるドクターは少なく、
益々、企業側は困ってしまいます。
産業医の仕事は、
病人本人も含めて、職場のメンバーが安全に安心して働けるかどうかを
判断することです。
たとえば、まだフラフラの半病人を職場に戻せば、
周囲への悪影響も考えられますよね。
その辺まで考慮できる産業医でなくては困ります。
では、どうしたら、産業医が的確な判断を下せるのか。
わたしのコンサルティング手法では、
主治医からの診断書を、産業医や会社が判断に使えるような
様式で書いてもらうようにしています。
たった一行、「軽作業から可能」ではなく、
多くの項目を○×や数字で示してもらうのです。
例えばこんな感じ。
1日7時間の労働が可能ですか (○ ×)
現在のところ、1日( )時間の労働が可能です。
公共の乗り物を使って、1時間以上離れた場所に出かけることができますか(○ ×)
社外の人と、社外で会って、商談をすることができますか(○ ×)
宿泊を伴う出張は可能ですか(○ ×)
だいたい20項目近く出します。
この質問状は、産業医と共同で作成し、
(産業医が判断に使うものですから、当然ですけど)
産業医の名前で、主治医への質問書として提出します。
×がひとつでもあれば復帰不可能ということではなく、
それを知ったうえで、産業医の指導のもと復職プランを作れば、
復職の失敗が、目に見えて減ること請け合いです。
もちろん、いきなり多くの質問項目を突き付けたりすれば
主治医も気分を害されるでしょうから、
事前に(従業員が治療を受け始めたころから)主治医に
このやり方を説明しておくのがコツです。
いかがでしょう。
本日のコラムは、お役にたちましたか?
ぜひ、御社の産業医に相談してみて下さい!
きっと協力して下さいますよ。
(やる気のあるドクターに限りますが)