労災事故における企業の責任(1)刑事責任

前回は、企業が労災事故を起こした場合、
3つの責任が考えられる、と書きました。

今日は、その一つ目、「刑事責任」について見ていきますね。

これは、簡単に言えば、労働安全衛生法を守り、
安全に労働者を働かせるために、注意を払う義務のことです。

労働安全衛生法は、労災を防止し
労働者を安全に働かせるよう
企業に義務付けている法律ですが、
労災発生時には、それらのことが守られていたかどうかが
問われることとなるのです。

その他、刑法の業務上過失致死、過失致傷に問われることもあります。

これは主に、建設現場や、製造現場などにおいて、
重大な死亡事故など起こった場合ですが、

事業主が注意を怠ったため、となれば、
労働安全衛生法違反とともに、
業務上過失致死、過失致傷罪に問われることとなります。

興味深いのは、
労働基準法と労働安全衛生法における、責任の主体の違いです。

労働基準法でいう「使用者」と違い、
労働安全衛生法における「事業者」は、
「事業経営の利益の帰属主体そのもの」と
労働基準局長が通達を出しています。

労基法の「使用者」は、工場長だったり、課長さんだったり、
会社経営のために部下に命令を出す人を含みます。

しかし、労働安全衛生法でいう使用者は、
ズバリ法人そのもののことですから、
実際に罰を受けるのは(法人は人間ではありませんので)
経営者その人、というわけなのです。

たまに、新聞で、労働安全衛生法違法で役員が書類送検、とか
出てますよね。

あれです。

次回は、2つ目の責任、「民事責任」について、お話ししましょう。

コラム

PAGE TOP