農薬混入事件もメンタル不調者か

「のど元過ぎれば熱さ忘れる」という諺もありますし、
日々、ものすごい数のニュースが流れますから、
この事件も、すでに過去のものとして、
もうメディアに取り上げられることはないと思いますが、
私たちの扱う【メンタルヘルスケア】にはかかわりの深い問題ですので、
もう少し考えてみたいと思います

まず、報道内容の整理です。

【工場のセキュリティシステムについて】
監視カメラは設置されていたものの、主に外来者用で
労働者に関しては、ボディチェックすらなかった

【評価・賃金制度について】
それまで年功制だったのが、24年度から厳しい成果主義に。
容疑者は、年収で200万円程度下がったとの情報も。

【正社員と契約社員の待遇格差について】
契約社員を見下すような態度をとる正社員がいたこと、
同じ職務内容なのに、給与が違うこと、
契約社員から正社員登用の道が厳しすぎる(1.5%程度)ことなどが、挙げられる
正社員は週休2日制なのに対し、
契約社員は繁忙期にはかなりの過重労働があった。

【容疑者について】
職場では有名なトラブルメーカー。
サボり、つまみ食い、周囲との喧嘩、上司への文句、ロッカーを蹴るなど。
前の職場(製造業)も、不良品の混入で解雇されている
私生活においても、近所とトラブル続き

さて、ここまでお読みなって、いかがでしょうか。

私の感想は・・・・

「いったい、この会社の労務管理はどうなってるのか!?」ということです。

ここでは、容疑者を責めることはしませんし、
このような人物をゼロにすることはできません。

しかし、この会社ができたことは、いくらでもあります。

1.採用時の調査、テストを強化する

いまは、合法的に性格や生活態度を知るツールがいくらでもあるのですから、
利用すべきです。

2.労働者との信頼関係を築く

いくら監視カメラを増やしても、悪意を持って臨まれれば無力です。
また、厳しい成果主義も避けては通れないでしょう。
であれば、企業のやるべきことはただ一つ。
労働者と手に手を取り合って、安全に利益を出すしかありません。

3.相談窓口を充実させる

取材によれば、容疑者は何度も上司に待遇改善を訴えたようですし、
容疑者の前にも、何名も待遇に不満を述べて去って行った
契約社員が居たそうです。
また、容疑者の目に余る行動を見て、会社に相談したかった上司もいたと思います。
とにもかくにも、まず社員の声を聴く、そういう姿勢がこの会社には見られません。

いかがでしょうか。

あなたの働く会社では、1,2,3が充実していますか?
2は、様々な方法が考えられますし、
一朝一夕には無理かもしれない。

ただ1と3は、すぐ取り組むことができます。

この事件があってすぐ、ある企業の人事部長から、
「根岸さん、うちの相談窓口、契約社員やパート/アルバイトにも
利用させたいんだけど・・・」というご相談がありました。
(このメルマガの読者です)

その企業は、正社員にしか窓口を設置しておりませんでしたが、
今回の事件を受けて、すぐ行動に出られました。
素晴らしいご判断だと思います。

アクリフーズの、今回の事件での損失を計算してみると、
商品回収費用だけでも約40億円と報じられています。
その他、親会社であるマルハニチログループの株価下落、
不買運動、労働者の会社離れ、採用困難、グループ全体のブランド失墜などを思えば、
100億円は下らない特別損失を出したことになります。

相談窓口設置は、その1万分の1の費用で充実させることができます。

ご質問、ご相談は、今すぐどうぞ!
事件はいつ起きるか、だれにもわかりません。

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