日本企業は、依然としてメンタルヘルスケアを、一つの業務と位置付けていないようです。
その証拠に、担当部署や担当者が明確になっていない場合が多いのです。
仕事というのは、担当部署や担当者が明確になって、初めて業務として
認識されますから、
それが無いというのは、そもそも仕事として認められていないということです。
では、社内に、担当部署を作ったらり、担当者を置いたりするほど
仕事が無いのでしょうか?
それは、メンタルヘルスケアの捉え方によりますね。
私は、もっと大きなくくりで、『社員の健康管理』というふうに捉えればいいと思います。
そうすれば、この仕事の守備範囲は結構広く、
定期健康診断、メンタル研修、セルフチェックテスト、
産業医・保健師に関すること、
外部EAPに関すること、
そして不調者への対応、
などなど・・・・。
結構、ひと仕事っていう感じですよね。
業務でないと考える企業は、メンタルヘルスケアをなんだと思ってるんでしょう。
私傷病で倒れた人の尻拭い、程度なんでしょうかね。
メンタルヘルスケアの先進国では、
単なる福利厚生や、法的義務ではなく、
従業員の健康管理は、競争力向上の一つの手段だと考えられています。
だとすれば、戦略的なものでなくてはなりませんね。
従業員の健康管理に戦略があるとすれば、
それは人事戦略に基づいたものでなければならない。
そして、人事戦略は、経営戦略に基づいたものでなければならない。
また、日本企業においては、従業員の健康管理となると
ボトムアップで課題が挙げられることがほとんどで、
職場のそこここで起きた問題が、細い情報ルートを伝わって人事に集められ、
そこで行われるモグラたたきに疲弊した人事部員によって
試行錯誤の上、対策めいたものが論じられ、
とても全体最適とは言えない施策、場当たり的に実行される・・・
外部コンサルタントの目から見ると、そうとしか見えません。
せっかく導入した各種の施策も、サイロ型(縦割り)のまま運用されるので、
最大のパフォーマンスを出せずにいるのです。
良く見られる例が、工場の産業医と本社の労務課長が、
一度も会ったことが無い、などです。
また、本社で導入しているEAPの存在を、地方の拠点は知らない、とか。
これを改善するためには、経営者がトップダウンで自社の課題を分析し、
身をもって必要性を感じ、最適なメンタルヘルスケアを検討することが必要です。
具体的には、健康推進室のような機関を設置し、
経営戦略を実現するための、健康管理戦略を立てさせるのです。
そして、そこでは、専門家(優良なる産業医や保健師)を有機的に配備し、
従業員教育計画を立て、相談窓口を検討することになるでしょう。
健康に関する社内ルールなども、ここで立てられます。
もちろん、メンタルヘルスケアも。
休職や復職のルールも、です。
でも、肝心の経営者が課題を感じないんだから、しょーがないよ、ですって?
いえいえ、経営者は、感じないのではありません。
あまりにも情報不足なのです。
(勉強不足とも言えますが・・・)
そこは、人事部の皆さんが、経営者の目に留まるようなレポートを
あげなくてはいけません。
法律面から、生産性の面から、福利厚生の面から、CSRの面から、
多角的に必要性を語り、
現状をさらけ出し、
放置した場合のリスクを数値で表し・・・・
関連記事のコピーをつけて、
粘り強く、経営者の注意を喚起し続けてみて下さい。