内定取り消しに対して、益々厳しい法律が・・・

労働関連のニュースに敏感な方は、とっくの昔にご存じのことと思いますが、
職業安定法施行規則の一部を改正する省令が、今年の1月に公布され、同日から施行されています。この改正は、新規学卒者に対して、企業の一方的な内定取り消し防止のために行われました。

改正点の概要を見てみると・・・

1.採用内定取消しに関する事業主による通知は、公共職業安定所及び施設長に対してなされること。

2.職業安定局長が定める様式に従うこと。その様式においては、事業所の概要に加え、採用内定取消しの状況として、内定者数、取消し者数、内定取消しを実施しなければならない理由など詳細に記載させられます。

3.採用内定取消しを行った企業名の公表。2年以上連続して内定取り消しを行ったり、一度に10名以上の内定取り消しを行った場合は、企業名を公表されるようになりました。もちろん、合理的な理由(事業縮小など)が明らかに見とれられる場合を除きます。

【採用内定取消しとは】
そもそも、採用内定によって成立する労働契約は、判例上、契約成立後の一定時期から開始するという始期が付され、かつ、一定の事由が生じたときには、解約できるとの条件が付されているものであると考えられています。そして、採用内定取消しとは、上記の解約権を行使する場面を意味しますが、どのような解約権行使であっても適法となるわけではなく、解約権が留保された趣旨や目的に照らして、客観的に合理的と認められ、かつ、社会通念上も相当として是認することができるものでなければ採用内定の取消しは違法・無効とされます。(労働契約法第16条)
解雇権と似ていますね。

企業リスクもさることながら、内定取り消しされた学生さんのメンタル不調も深刻なものがあります。社会人としてのスタートが、そのような結果に終わればその後のキャリア形成にも、暗い影を落とすことは否めません。そもそも、内定取り消しが行われないような採用計画を立てることが企業に求められていますが、激変する経済情勢から、やむなく行う企業も少なくありません。万が一、採用内定を取り消さざるを得ない場合に陥ったとしても、内定者に対する誠意ある対応をとることが、トラブル防止につながることは言うまでもありませんね。採用計画は、事業戦略と密接に結びつくものと考え戦略の変更があれば、採用計画もその都度見直すように致しましょう。

コラム

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