皆さんの会社では、復職に失敗した社員が結局辞めてしまった・・などということはありませでしたか?そういうことが続くと、結局うつ病は治らないんだ、辞めるしかないんだ、という誤った認識が社内に蔓延し、組織全体でのメンタルヘルスケアにも力が入りません。特に経営層が、そういう認識を持つと、予防のための予算も出ませんし、最悪ですね。
復職させるには、どういう判断基準が必要で、どういうフローが行われるのか、これを会社側で決めて、全社員に周知しておくこと、これが大切です。全社員、ですよ。人事部門だけが知っている、とういのではいけません。自分がもしそういう状況になったら、どういう処遇を受けるのか、ということをあらかじめ全社員に知っておいてもらうことが、トラブルを大きくしないコツです。
皆さんの会社には、休職した人を復帰させるときどのような規程がありますか?
復職判定委員会などがあるでしょうか。復職判定委員会は、本人、主治医、産業医、人事部門、本人の上司、などから構成されるもので、復職可能か、可能だとすれば、どのタイミングで復帰させるか、リハビリ出社は必要か否か、もどす職場は同じか別か、もどす職場のスタッフへの再教育をどうするか・・・などを話し合います。主治医のみの診断書で復職させている会社が、いまだ多いようですが、これは大変危険です。それこそ、復職に失敗して退職に追い込まれる人のほとんどが
主治医のみの診断書で職場復帰していると思います。ご存じのとおり、主治医というのは、本人が働いている職場そのものを見たことはありません。休職している人というのは、3か月近く休んでいると自分のポジション、給与などに大変不安を感じてきますので一日も早く復職したい!と考え始めるわけです。すると、そういう診断書を書いてほしいと、主治医に嘆願する人も少なくありません。主治医も、それを止める理由がありませんので、書いてしまう先生が多いそうです。これは実際お医者様に聞いた話です。しかし、復職するとは、朝起きて、ご飯がちゃんと食べられる、ということではなく毎日会社に出社して、以前のようにみんなと一緒に仕事ができる、ということでです。この判定を、会社を見たこともない主治医1人にさせて・・・いいわけありませんよね。
というわけで、復職には慎重になって頂きたいと思います。産業医が頼りなければ、信頼できる精神科のお医者様にセカンドオピニオンを頂くとか、普段からそういうネットワークを持っておきましょう。復職時専門のセカンドオピニオンを提供している会社もあります。
そして、繰り返しになりますがあらかじめ、そういった規程を社員に周知徹底させておくのがトラブルを防ぐコツです。これは、復職に関する規程に限ったことではありませんがなんでも規則を作ったら社員に理解を徹底させましょう。企業側のリスクを最小化する、という意味においても、です。