パワハラと労災の関係

製薬メーカーの営業マンが、上司の心無い発言がもとで心を病みついに自殺に追い込まれた事件は記憶に新しいですね。それに類似するケースは後を絶たず、ついに国も重い腰を上げたようです。新聞記事を引用してみましょう。

パワハラも労災に、認定基準10年ぶり見直し厚生労働省は6日、うつ病などの精神疾患や自殺についての労災認定をする際に用いる判断基準を10年ぶりに見直すことを決め、各労働局に通達を出した。パワハラなどが認定できるよう12項目の判断基準が新設された。精神疾患による労災認定は、ストレスの強い順に3、2、1の3段階で判断される。強度3で新設されたのは、「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」という項目。これまで明確な基準がなかったパワハラによる精神疾患については、この基準で判断できるようにした。

強度2では、企業の人員削減や成果主義の導入が進んできたことから、「複数名で担当していた業務を1人で担当」「達成困難なノルマが課された」といった基準を新たに設けた。厚労省によると、2007年度の精神疾患による労災申請者数は952人で、前年度比133人増。03年度の2倍超となっている。2009年4月6日21時49分 読売新聞

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これまで労基署では、うつ病や自殺による労災の申請があった場合、「勤務時間が長くなった」、「配置転換があった」など合計31の項目でストレスの強さを判定し、労災にあたるかどうか判断してきました。しかし、成果主義の導入や人員の削減で新たなストレスが広がっていることを考慮する必要があるとして、厚生労働省は認定基準を10年ぶりに見直し、今月6日、全国の労働局に通知しました。新しい基準では、「職場でのひどい嫌がらせやいじめを受けた」という項目が新たに加わり、いわゆるパワーハラスメントを考慮する内容になりました。これは大きな変化とみてよいでしょう。また、このほか「達成困難なノルマが課せられた」、「複数で行っていた業務を1人で担当するようになった」など、11の項目も新たに加わりました。さらに、「顧客とのトラブル」など一部の項目については、これまでの基準よりストレスの強さを引き上げました。

パワハラは、加害者もメンタル不調に陥っている場合が多く見られます。人間余裕がないと、どうしても他人に当たったりしたくなります。メンタル不調は、心や体(感性の部分)の叫び声を頭(理性)が無理やり押さえつけてしまうことから起きると考えられています。無理やり押さえつけられたものは、いろいろな形で噴出するのです。たとえばそれはDVだったり、セクハラだったり、パワハラだったり、アルコール依存だったり。労務リスク(訴訟リスク、人材流出など)を甘く見てはいけません。

パワハラ対策の大まかな手順は下記のとおりです。

1.パワハラ防止委員会のような全社員が認識できる機関を設ける
2.全社員への教育・啓発活動
3.社内の規程を作る(罰則なども含めて)
4.相談窓口の設置(外部と内部両方あるのが望ましい)
5.実際に相談が来た場合のシミュレイトをする
6.社員の理解度テストや自主点検などを定期的に行う
7.6の結果を見て、1に戻る。あとは、PDCA。

一番問題なのが5です。実際に加害者と被害者を並べて尋問するわけにいかないし
同じ社内で犯人探しはイヤなものです。専門の調査機関を使う、という手もあります。弊社でセクハラ・パワハラ・コンプライアンス違反の調査実績豊富な企業をご紹介もしていますので、必要あればご相談ください。

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