派遣先企業に、労災の求償徹底へ

皆さま、こんにちは!
いつも企業の健康管理を考えている
メンタルヘルスケアのアドバイザー、根岸勢津子です。

今日の都内は、しとしと雨模様の七夕となりました。

さっき、用事があり、品川駅まで出かけたのですが、
浴衣姿の若い男女がたくさんいましたよ。
お祭りか何かがあるのでしょう。
いいものですね、ゆかた姿は。

さて、私はと言えば、
相変わらず、本の執筆に苦しんでおります。

なかなかまとまった時間が取れないうえに、
あーでもない、こーでもないと考えてしまい、
先に進まないのです。
今、6合目あたりなんですが・・・。

それから!

いよいよ展示会が来週に迫ってきました。
資料は、300部用意します。
この週末は、せっせと袋詰め。

どんな出会いがあるか、とても楽しみです。

皆さまも、お時間あれば、ぜひいらして下さいね。

ブースにいらして、「メルマガ読者です!」とおっしゃって下さった方には
ささやかなプレゼントを差し上げます。
ただし、先着50名様分しか用意できませんが・・・。

では、本日のコンテンツに、GO!

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■ 派遣先に、労災保険の求償が徹底される!
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1人でも従業員のいる会社は、
強制保険として、労災保険に加入しなくてはなりません。
当然、皆さまの会社でも加入していますよね。

さて、この労災保険、
労働者が、仕事中に傷病を負った場合に
国から治療費や休業補償が給付されるものですが、
派遣会社から来てもらっている、派遣社員さんに対してはどうでしょうか。

派遣社員の方たちも、同じ職場の仲間ですね。
指示命令も、派遣先の職場で受けて働いています。
そんな彼らが、業務上の傷病を負った場合、どうなるか。

答えは簡単。
派遣社員が傷病を負えば、
所属する派遣会社の加入している保険でカバーされます。

ところが、派遣先の安全配慮に問題が見られた場合、
いったん国が支払った保険金を、
派遣先に求償する、と法律にかいてあるのです。
皆さま、ごぞんじでしたか?

ちょっとややこしいので、具体的に名前を使って説明しましょう。

Aさん(男性プログラマ35歳)は、Bという派遣会社から派遣され、
Cという会社で働いています。
Aさんは、慣れない職場で、非常に難易度の高い仕事を与えられ、
毎晩残業が続きました。
周りに相談する人も無く、次第に元気が無くなって行ったのです。
それを見た、C社の男性は、きつい言葉でAさんを責めました。
来る日も来る日もAさんは責められ続け、
しまいにはうつ病を発症し、半年後に自殺してしまったのです。

うつ病の原因は、上司に当たるC社の男性からの
強いパワハラによるものだとされ、、
彼の死は、労災と認定されました。
派遣会社であるB社が加入していた労災保険によって、
国からAさんの遺族に、葬祭料や遺族年金が支払われることになりました。

ここまでは、いいですよね?

さて、ここからが問題です。

保険金を支払うのは、当然国ですが、
その国が、C社におけるAさんの使い方に問題があったとして、
支払った保険金を、C社に支払うよう求めたのです。

確かに問題がありましたよね。
C社の男性のパワハラを受けていたわけですし、
難易度の高い仕事を、Aさん1人に押しつけていたわけですから。

これを、保険用語で「求償」といいます。

製造現場などでも、考えられますね。

D社から派遣されてきたEさんが、F社の工場で働いていたところ、
機械に巻き込まれて死亡。
当然労災事故ですから、保険金は、いったんD社に支払われますが、
良く調べてみたら、F社の安全管理状況が劣悪だった。
その場合、国は、D社に支払った保険金を、F社に請求する、という仕組みです。

この法律は、労災法第12条に明記されていて、
前からあったのですが、
労基署が派遣先に出向いて調査するにも、
あまり権限が発揮できず、
事実上、運用されてこなかったようです。

しかし、今年10月に施行が予定されている
改正労働者災害補償保険法(略して改正労災法)では、
派遣先企業の労災防止責任(安全配慮義務)を
反映しやすくする仕組みが盛り込まれます。

派遣先で、労災事故が起きた場合、
労基署が強制的に企業から報告書を提出させたり、
出頭命令を出したり、
立ち入り検査を行ったりする権限を明記してあります。

これにより、形ばかりだった労災の第三者求償を
徹底させ、派遣先の故意・重大な過失による
労災事故を防止したい、ということでしょう。

しかも、罰則付きの法律となるようですから、国も本気です。

そうとう財政が苦しい、というのもあるでしょうけれど、
企業の安全配慮義務を徹底してほしい、という表れと受け取り、
各事業場では、より一層の努力が求められるところです。

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