前回は、休職者と、まったく健康な人の間に存在する
グレーゾーン社員が危ない、ということを書きました。
私は、このグレーゾーンにいる人たちを
未病高ストレス者と呼んでおりますが、
この人たちは、見かけは健常者として毎日会社に来ています。
しかし、心身のどちらか、もしくは両方が疲れ果てていて、
ほんのちょっとしたきっかけで、
メンタル不調や、脳溢血、心筋梗塞などを
発病しかねないグループです。
ちょっとしたきっかけとは、
今まで大阪支店長だったのが、東京支店長に異動、とか
課長から部長への昇進で急に責任増大、とか
多忙なプロジェクトのリーダーで残業続き、などです。
また私生活においては、
子供の受験が失敗して妻と毎日言い争い、とか
自分の親と同居を始めたが、配偶者とうまくいかず板挟み、とか
大失恋で食べ物も喉を通らない状態、などです。
まあ、書けばキリがないですが、
私生活での落ち込みも無視できません。
ですから、人事としては、このゾーンにどうアプローチして
発病を食い止めるか、ということが喫緊の課題となります。
逆に言えば、このゾーンを、元の健常者のゾーンに
戻すことが出来れば、企業リスク自体が極端に小さくなるので。
さて、その見つけ方ですが、
管理職研修で、危なそうな部下がいたら
人事に連絡してくれ、なんて言ってませんか?
残念ながら、ほとんどの管理職は、そんなことできません。
それでなくても忙しいし、
もともとメンタル不調の話が嫌いな人も少なくありません。
それに、心から部下の健康管理を自分の仕事、と
思っている人も、人事部門が期待するほど多くないでしょう。
それを、自分の仕事と思ってもらうために
研修やってるんじゃないか!と言いたいでしょうけれど、
異変の起きた部下を首尾よく発見し、
タイミングよく声をかけ、
積極的傾聴スキルを用いて、部下の悩みを聞きだし、
上手に産業医につなげる・・・
こんなe-ラーニングの映像から抜け出してきたみたいな上司が
みなさんの会社に、どれだけいるでしょうか?
でも、がっくりしないで!
これから、どの企業でもできる、
グレーゾーン社員の発見方法を教えます。
それは、
メンタルチェックテストを実施することです。
なぁ~んだ、なんて言わないで。
私の感覚だと、まだ7割の企業は
これを組織的に、計画的に行っていません。
3年前に管理職だけやったとか、
厚労省の無料のテストはやったとか、
そんなのすべてダメです。
毎年、継続的に、多角的な質問項目を持つテストを
全社員に実施し、事後措置も計画的に行わなくては。
次回は、テストの選び方と
効果のある実施方法についてお話します。