メンタル研修やりたい!
ちょっと待って。
その施策は、人事部門の独りよがりではありませんか?
やらないと、会社がつぶれますか?
業務に差支えが出ますか?
会社の予算を使っていいのは、下記の2点だけです。
1.やれば業績が上がる(であろう)事
2.やらないと業績が下がる(であろう)事
いずれもやってみなくちゃわからないのですが、
経営者は(私もそうですが)とくに1が好き。
営業マン研修とか、マーケティングの費用は
予算取りが楽だという会社は、少なくないでしょう。
では、2には、どのようなものがあるでしょうか。
あ) 採用の戦略を考える
い) よい評価制度と教育体系の整備
う) 働く人の健康管理/職場の安全管理
え) コンプライアンス管理
お) 企業ブランディング
などでしょうか。
重要だけれど、急ぎではない・・・みたいな。
しかしながら、多くのマーケティング費用を使うより、
2に予算を使ったほうが効く!という会社もあります。
また、採用に費用を使うより、
定着率向上(離職率低下)策を考えた方が得、という場合もあります。
ただ、どちらがいいのか、何が効くのかは、現状を、
とくに社内にいる「人」を見てみないとわからない。
では、現状なり、人なりを、正しく見るにはどうするか。
やはり、ちゃんと調べるしかありません。
正直に聞いて、答えてもらうしかありません。
働く人が、何に重きを置いているか、
会社のガバナンスは、どこまで効いているか、
どこをいじると、働く人反応するか、
いま、それがバッチリわかってしまう調査がいろいろあるのです。
当社では、クライアント企業にコンサルティングする際にも、
組織調査を行い、「効くメンタルヘルス対策」にしています。
「過去に管理職向けの研修は実施したことがある」
「外部の弁護士に相談窓口を引き受けてもらっている」
などの対策をしているところがおおいようです。
ではなぜ、当社に支援を依頼されるのでしょうか。
それは・・・施策の効果が感じられないまま、
あらたな事案が起こってしまうからでしょう。
お話しした通り、ハラスメントはゼロにはできません。
ただ、「言い方の問題、受け取り方の問題」として放置するのも危険です。
ご存じのとおり、最近では行為者(ハラスメントを行う人)も、
企業も、同時に責任を問われる時代なので、
管理職を委縮させたくない反面、
一般的な知識くらいは教えておこう、と企業が考えるのは
当然かもしれませんね。
そうそう、ご存知ですか。
全国の労働局など、公共の期間に寄せられる労働相談の
内容のトップは、ここ数年ずっと、「いじめ・嫌がらせ」
つまりハラスメント関連の相談なんですよ!
すべての労働相談は平成20年からずっと
100万件越えで推移していますが、(それだけでも、すごい!)
そのうち、民事上の個別労働紛争が25万件弱で、
そのうち、ハラスメント関連は6万件と2割以上を占めています。
職場の人間関係が悪いからって、
小学生じゃあるまいし、人事がイチイチ話を聞いて
仲直りをさせてたんじゃ、ラチが開かないし・・・
まあ、企業としては、生産性を低下させるほどの
職場環境の悪化を防止したり、
それに伴う労務リスク(労使の紛争など)の発生を
防止したりするのが、精いっぱいだと思います。
でもね、ハラスメントはゼロにならないんです。
ですから、ハラスメント防止そのものを論ずるよりも、
たとえばパワハラであれば、
「上司が、業務効率を考えて部下に仕事を与えているか」
「上司が、明確な目標、正しい評価を正しく部下に伝えているか」
けっこうメチャクチャな指示を出しまくって
部下に迷惑かけている上司って、いるんだそうです。
つまり、マネジメントがヘタクソ、っていう事です。
で、うまくいかないから、余計に怒鳴ったりしちゃう人も・・・。
こういう人を作り出してきたのは
(つまりちゃんとmgr教育してない、
もしくは中途であればマネジメント能力の無い管理職などを採用するとか)
企業側なわけだから、きちんと反省して、責任とって再教育するとか、
もっとマネジメント上手な人を配置するとかすれば、
パタっとハラスメント事案が無くなる、というような事例はあるものです。
マタハラ防止であれば
「従業員全体が、ダイバーシティを理解し、推進しようと考えているか」
(これには会社の方針発表も不可欠)
「職場に、もともと助け合いの精神、お互い様の精神があるか」
といったところがポイントだったりします。
これもパワハラと同じで、根本原因があるのに、
表面上の「ダイバーシティ推進室」→なぜか室長はどこも女性・・・
みたいなのを作って満足している経営陣があとを絶たず・・・
ああ、どうしよう。
こういう企業から、ハラスメント研修の依頼などあると
絶望的な気持ちになる私なんです・・・。