下記の手順に従って進めます。
1.現状把握と、ゴール設定
2.禁止事項の決定
3.規程の見直し
4.相談窓口の設置と受付フロー構築
5.教育・啓発の実施
前回のコラムでは、3について解説しました
今回は、4の相談窓口設置についてです。
「わが社ではこれをやっちゃダメ!」というルールを決めて
みんなに伝える。
その規則を破った人がいたら、通報してもらいます。
その通報先は、どこがよいでしょうか。
総務部?弁護士?それとも、産業医?
まあ、産業医はちょっとピントが外れてますが、
総務部と、弁護士は多いようですね。
総務部というと社内相談窓口、ということになりますが、
これは、あってもいいけど、利用率は低い。
やはり、社内のモメゴトなどは、管理部門に直接言いづらい人が
多いですよね。
では、顧問弁護士はどうか。
これはNGです。
なぜなら、顧問弁護士は会社がお金を払っているため、
利益相反することがらは扱えないからです。
(例:会社を訴えたい、など)
その点、外部にあって、利益相反せず、
相談のプロが対応してくれる、という便利なサービスがあります。
これが、「外部相談窓口」と呼ばれるものです。
ハラスメント相談は、初動を誤ると大変こじれる可能性が
高いので、やはり最初の相談はプロに受けてもらうのがいいのですが、
公的なものから、民間業者まで、たくさんの窓口があります。
選ぶポイントは下記の3つ。
1.カウンセリングの訓練を受けた人が出てくれるかどうか
2.企業へのフィードバックが迅速かどうか
3.毎月の報告をきちんと出してくれるかどうか
1は、ハラスメントを受けている人は
メンタルが弱っている場合もありますので、
カウンセリングの技術を用いながら、話を聞く必要があるからです。
その一方で、攻撃的になっている人も見られ、
その対応は、素人ではなかなか難しいものです。
皆さんの中で、ハラスメントの被害者(を名乗る人)
からヒアリングをしたご経験を持つ方の中には、
やたらに話が長くなったり、泣かれてしまったり、
話が二転三転したりして振り回された、という方も
いらっしゃるかもしれません。
そこを上手に聞く技術を持ったプロが出てくれるのが
外部相談窓口です。
もちろん、事案は企業に持ち込まれるのですが、
何よりも大事な、初動を上手にさばいてくれるプロがいる、
というのは心強いですね。
ポイントの2は、相談者をイライラさせないためには
必須の条件です。
3は、相談だけで終わっているケースも、
企業としては、内容と件数を把握しておく必要があります。
さて、相談窓口が決まっても、まだ安心できませんよ。
持ち込まれた相談を、企業内でさばいていくフローチャートが
必要です。
事案を扱う度に手順が違ったり、
〇〇課長がいないとわからない!なんてことにならないよう、
きちんとマニュアル化しておきましょう。
相談窓口に事案が入ってから、
誰が誰に何を聞いて、
この場合には、こちらに進む、
この場合には、こちらに進む、というフローチャートを作ります。
それができたら、各手順で使用する
様式類を整えます。
例えば、相談を受けるときの様式には、
「私の申告内容が虚偽と判明した場合は、懲戒を受けます」
などの文言を入れて、サイン欄を設けましょう。
このひと手間が、御社を救います。
さあ、次回はいよいよハラスメント対策の最終回、
教育研修・啓発活動の企画立案についてです。