私は、常々メンタルヘルス対策にも、ハラスメント対策にも
「ルール作り」を提唱し、
それをコンサルティングとして企業に提供していますが、
なぜ、「ルール作り」が大切なのでしょうか。
人事の担当者が安心して不調者を取り扱うため。
労働者が万が一の傷病の際も、安心して休職できるため。
「業務」として取り組むためには、一定のルールが必要だから。
様々な理由が挙がりますが
私がもっとも重要視しているのは、
「万が一の場合に、説明責任を果たせるから」という理由です。
いま、あらゆる事故を起こした企業には、厳しい説明責任が問われます。
「説明」とは、いつ、どこで、誰が、なぜ、
どんな行動をしたかを明示することを指し、
それは、事故が起こったとき、
急にできるものではありません。
「説明」が不明・不足の場合、
インターネットのちからも手伝って
企業はこれまで以上に社会的制裁を受けるようになりました。
特に、労務事故においては、
電通事件が物語るように、企業が普段、
どのように従業員を処遇していたのかが、
追及の焦点となります。
企業の社会的責任として求められているのは、
法律にのっとった「安全配慮義務」であり、
それを目に見える形で具現化していかなければ
ならない時代を迎えたと言えます。
これを考えると、「経験と勘と個人スキル」で
メンタルヘルス対策やハラスメント対策を扱うことが
いかに恐ろしいことがお分かりでしょう。
いつでも企業は、何に基づいて、どのように物事を処理したか
説明できるようにしておく義務があるのです。
もちろん、メンタルヘルス対策以外も、です。
あなたのまわりには、
どれくらい「属人的業務」がありますか?
それを一つでも減らしていくことが、
企業の務めとも言えます。
そしてそれは、業務プロセスの見直しにつながり、
長時間労働の抑制、
多様性のある働き方を可能にする、など
様々なメリットを生むのです。