こんな時は産業医を替えましょう、思い切って!

皆さんの会社では、産業医がいらっしゃいますか?労働安全衛生法では、50名以上の人が働く事業場では産業医を配置しなくてはならない、と定めています。この『事業場』という言い方ですが、ここでは、1ロケーションのことを言っています。たまに、全従業員の合計、と勘違いしている方もいらっしゃるので、念のため。

つまり、東京に200名、大阪に80名、名古屋に50名いるとしたら、3つの産業医契約が必要、ということになります。もちろん大阪と名古屋は、同じ先生、というのはOKですが。

産業医と同じく、50名を超えた事業場に必要なものは、衛生委員会と衛生管理者。これに関しては、また別の日に書きます。

さて、産業医。

『まあ、月に数万円払って、毎月ハンコもらっとけばいいんだよ。』
『え?月に一度は会社に来るのが法的義務なの?顔見たことないけどなー。』
『どうせ臨床で使い物にならないから産業医やってるんでしょ。』
『寝てても取れる資格らしいよ。』
『何もしないのに顧問料払うのは、もったいないな。』
『社員で産業医の顔知ってる人は居ないと思う。』

一つでも当てはまるものがあれば、問題ありですね。この問題は、医師側だけの問題ではありません。企業側の受け入れ態勢が整っていなかったからです。
正確にいえば、企業が産業医が何をするお医者さんで、何を依頼すればいいか、どう使えばいいかを知らなかったからです。

今は違います。過労死や精神疾患が労災に認定され始め、普段の健康管理こそが労務リスクマネジメントの要である、という考え方が広く浸透してきたために、きちんと仕事をしてくれる産業医が求められています。

では、きちんと仕事をする産業医とは、どんな先生か?
そもそも産業医の仕事とは?

法律に基づいて記せば、下記のようになります。

・月に一度の事業場巡回
・衛生委員会の構成メンバー(委員会への出席は委員会の決定による)
・健康診断の事後措置に関する業務
・作業環境の維持管理に関する業務
・長時間労働者に対する面談
・休職・復職に関わる面談
・日常の健康相談
・衛生教育・健康教育
・定期健康診断結果報告書へのサイン
・その他労基署への提出書類の作成
・衛生委員会議事録への捺印
・労働者の健康障害の原因の調査および再発防止のための措置に関する業務
・労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは企業に勧告をする

その他、産業が必要とされない人数の拠点などがあれば、そこに対する健康指導方法の助言や、メンタルヘルスに関する講話など、積極的に、企業人事部にアイデアを提供して下さる先生でなければお金を支払う価値がありませんね。

また産業医に、メンタル不調で休職していた人を会社に戻す時(復職)の判断をしてほしい、と望む企業が多いのですが本当にその能力のある先生を雇っているでしょうか?

『うーん、私はメンタルの専門家じゃないから・・・。』
『責任問題になると困るから・・・(何の??)』
『まあ、主治医がいいって言ってるし、本人も元気そうだから・・・。』

えー、困りますよ、それじゃ!産業医は、人事部門側のスタッフとして動いてくれるのが望ましい。企業がお金を出して雇ってるんですから企業のベネフィットを考えてくれるべきなんです。ですから、復職の場面では、企業側からみた
復職の是非を、専門家として述べられなくてはならない、ということです。

そして、衛生委員会をリードしてくれて従業員向けに健康教育もしてくれる、となれば月額15万円弱支払っても、決して高くはありません。
そういう出費に比べたら、病気+病気未満の不調者を数多く抱える損失の方が、どれだけ大きいか計算してみてください。

企業損失の計算式は、こちらから。
この式をプレスリリースしたら、結構反応ありました。

http://planet-consulting.jp/news/hp0001/index.php?No=36&CNo=1

さて、ここで興味深いアンケート結果が。私の知り合いの医学博士が社労士野先生とともに東京商工会議所の会員企業に対してアンケート調査をたところ、
産業医選任義務のある事業場(50名以上の従業員が居る)をもつ企業のおよそ半数に産業医が選任されていなかった。(法律違反です!)

さらに、産業医の契約をしているのに、月に1度も産業医が訪問しない企業は1/3もあった、ということです。月に最低一度の企業訪問は、産業医の義務として法律で定めらているのに、です。また、産業医が来社するのは、月0-1日という企業がさらに1/3です。ということは・・・2/3の企業はほとんど顔をみていない、ということに。

これが実態です。これでは、企業のメンタルヘルスを論じる資格はないし、益々損失が出るのを放っておいているようなものです。

どこにお金をかけるべきか?これは、どんな仕事でも共通の重要事項ですが、
企業の、産業医に対する認識の低さは、驚くばかりです。しかしこれは、前述したように、医師側も、『臨床できないから、やる。』という姿勢が無きにしも非ずでしたし、企業側も、『形ばかり契約していればいい。』という『えせコンプライアンス』が無きにしも非ずだったことは、否めない事実です。

これを私は、是非とも変えていきたい!

今では、産業保健を理解した、いい先生もたくさん育っていますし、そんな先生には、しかるべき契約料を支払って大いに働いてもらえばいいのです。それが、従業員の心身の健康を守ることにつながればこんなに安いものはないと思うのです。

社長の知り合いだから、健康診断を頼んでいるクリニックの院長だから、
などは、まったく従業員のためにならない継続の理由です。特に開業医というのは、産業医とまったく別のミッションを持った人たちなので産業保健の世界に詳しくないし、日々の診察で忙しいし、依頼する方が無理というものです。

弊社には、『ちゃんとした産業医』のネットワークがあります。顧問先の社風や業態を理解して、必ず役に立ってくれるお医者様を、適正料金でアレンジすることができます。

コラム

PAGE TOP