またメンタル不調者の診断書が・・・・。
これをお読みの方は、役職やお立場はわかりませんが、企業の人事部門で働く方には間違いないと思われます。私が色々な人事部門からの悩みを聞くなかで、やはり一番多いのがうつによる休職で振り回されてしまう、という話です。すでに知られているとおり、うつ病の予兆としてまず現れるのが勤怠の乱れ(遅刻、欠勤など)です。おかしいな、と気づく間もなく無断で欠勤を繰り返すようになり、しばらく経って次に会社に来るときは診断書と一緒にやって来ます。
休職者を出した職場の雰囲気は最悪
うつ病に限らず、病気で休んでいる人がいる職場というのはなんとなく雰囲気も暗くなりがちです。それも精神疾患ならなおさらです。休んだ人の分、すぐに人の補充ができるわけでもなく、普段から多い残業がさらに過重されることも考えられます。営業マンの場合は、お客様への説明や新担当者の紹介など、無駄な業務が発生。社内スタッフの場合は、その人の担当していた業務がそのままわかるか、というと、これまた難しく、職場全体がギクシャクしてしまいます。生産性が下がる、とはまさにこのことではないでしょうか。
人事部門は関係各所との調整に大わらわ
穴のあいた部署からは早く人を補充してくれと言われ、他部署からは出せないといわれ、人事では調整に苦労します。その上、休職している社員との連絡、家族との連絡、主治医との連絡、産業医との連絡、やることは山のように出てきます。人事部はうつ病対処のための部署ではありません。本来の業務が山のようにあるはずです。しかし、一人の社員がうつ病で休職すると、こんなにやることがあるのか!と驚かされる、と経験者は語っています。これが遠く離れた支社等で起ころうものなら、人事部から出張し、休職させるにあたっての本人との面談、上司との面談、場合によっては家族にも会い・・・。東京~大阪間なら日帰りも可能でしょうけれど、それ以上なら宿泊となります。
人事マンは、プロのカウンセラーではない
人事部門では、元気の無い社員の話を聞くこともあると思いますが、プロのカウンセラーと違って専門的な訓練を受けて実績を積んでいるわけではありません。従って、どんどん自分も話の中に引き込まれてしまい、疲れ果てて、その割にはカウンセリングになっていない、ということが日常茶飯事なのです。人事マンが逆にうつ病になってしまった、という話も少なくありません。
予防に目を向けて、負のスパイラルを断ち切ろう!
うつ病による休職者を出し、いろいろな調整に疲れ果て、それでも一件落着はします。しかし、なんのノウハウも貯まらないうちに、また次の事案が浮上します。これでは永遠に負のスパイラルは断ち切ることができません。負のスパイラルを断ち切る唯一の手段は予防に目を向けることです。プラネット・コンサルティングは、予防体制構築のためのコンサルティング会社です。部分最適や対症療法では無理です。まず自社の姿を俯瞰し、メンタルヘルスケアの全体最適を知って体制を整えれば必ず状況は好転します。
企業におけるメンタルヘルスケアの限界を知る
よく『職場のメンタルヘルス』という言葉を聞きますが、これはよく考えると少し変な言葉です。なぜならば、人間は24時間自分という人間をつきあっているのであって、自宅だろうが、職場だろうが、遊んでいようが、働いていようが、自分だからです。ですから、どこに居ても心の健康には体の健康と同じように気を付けるべきなのですが、やたらに会社が悪者にされている風潮もありますね。しかし、民間の相談窓口を運営する企業の統計によりますと、相談の約6割が私生活に関するものだそうです。ですから、過大に会社が責任を感じることもないように思われます。しかしながら、人は、通勤時間も含めると相当長い時間仕事に捧げているのが事実ですから、早期発見のチャンスはかなりあると見てよいでしょう。何もかも仕事のせい、とか、職場の人間関係にさえ気を付ければうつ病にはならない、などは間違った認識です。
では、企業はどこまでやればいいのか?
相談の中でも最も多いのが、会社としてどこまでやればいいのか=いくらかければいいのか?というご質問です。言い換えれば、『最低限のレベルを教えてくれ』ということでしょう。これは単純です。
第1に、労働安全衛生法にきちんと準拠するレベルに持っていくこと。細かく見ていくと、これができていない企業が多いですね。産業医や衛生委員会の問題、長時間残業者の医師面談の問題、安全配慮義務の問題・・・。いずれもちょっとした違反や手抜きが目立ちます。罰則が軽いからいい、労基署が来ないからいい、そういった軽い気持ちで済ませていたことが、企業に大きなダメージを与える時代となりました。経営理念などに『誠実・正直』とうたっている企業でも、案外こういうところで小さなルール違反をしていたりするものです。有事の際(従業員の自殺など)に、法令順守ができていなければ、それだけで一発アウトです。そして有事は、音も立てずに突然やってくるのです。
第2に、有事(社員の自殺や、うつ病によって退職に追い込まれるなど)が起こり、社員や家族から訴えられた場合に不利にならないレベルに持っていくこと。労災認定の裁判は、労働者側と国との争いになりますが、民事裁判(逸失利益や慰謝料などの損害賠償請求)になりますと、企業が遺族・家族に訴えられるという形になります。その場合、企業が普段どのくらいメンタルヘルスケアに時間とお金を使っていたのかが問われることとなります。全く何の予防もせず、社員に心の病に関する知識も与えず、相談窓口も用意せず・・・となれば、多くの必ず過失を課されますし、その反対に手厚い体制があればあるほど過失相殺で有利となります。
大手広告代理店が起こした平成3年の事件以来、労災とは別の民事訴訟の恐ろしさを企業は身をもって知ったでしょう。裁判で、この企業は十分やることをやっていた、と判断される基準としては、法令の順守は大前提として、その他、従業員一人当たり年間1時間以上のメンタル教育、それに加えて従業員が困ったとき、いつでも気兼ねなく相談できる窓口が有ったかどうか、それが周知されていたかどうか、このあたりが問われるということです。
だから、メンタルヘルスケアは緊急性の高い課題
しばしば耳にするのが『メンタル対策の重要性は認識してるけど、緊急性が低いからねえ。』という言葉。これは全くの認識違いということが上記の説明でおわかりいただけたことと思います。いつどこで、誰がうつ病になるか、自殺するかわからない世の中です。万が一御社の社員がそのような事態に陥った場合のことを考えて行動するべきです。こうしたリスクマネジメントができない経営陣は、昨今の動乱の世の中を生き残っていくのは難しいのではないでしょうか。30年前には考えられなかったようなリスクが現代社会を取り巻いているのです。
まず、あなたから学んでください!
人事部門では、メンタルヘルスケアに関してあれこれとノウハウや民間サービス等を調べていることと思いますが、物事は、まず原理原則が大切です。企業におけるメンタルヘルス対策を思い立ったのであれば、まずご担当者自らが学んでください。あまり明るい話ではありませんが、日本の産業界が抱える現状、メンタル疾患そのもののこと、企業に与える影響、企業が抱えるリスク・・・などなど。ご担当者自身が知識不足という企業が多いように私は思います。まず、ご担当者が学んで役員のみなさんにも伝えて下さい。弊社では、ご担当者向けの
セミナーや
小冊子を用意してお待ちしています。