自社のリスクの大きさにがく然としましたが、今では安心ルールができました
総務部課長 山田匠子様(左)・総務部部長 田辺信二様(中)・社会保険労務士 中村仁様(右)
創立年 | 1964年 |
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所在地 | 山梨県中央市若宮50-1 |
拠点 | 店舗・配送センターなど17か所 |
事業内容 | 食品スーパーマーケット |
従業員数 | 正社員224名、パート従業員958名 |
当社は、自主性に富み、個人が成長できる社風があります
田辺:スーパーマーケットというのは、アメリカからやってきた業態ということもあり、ガチガチのマニュアルだらけ、という企業も多いようですが、うちは何でも自分で考えて、自分でやってみようという社風で、あまり細かい決まりがないことが多いのです。社長の方針が明確ですから、そこから外れてさえいなければ、やり方は各自考えろと。全員が「オレがいなくては、私がいなくては。」という当事者意識を持ち、その点では団結力がありますね。ですから、クレームやアクシデントにも強く、ここまで成長を続けてこられたと思います。
山田:私は、入社してすぐにベーカリー部門に配属になったのですが、新人の私が提案する商品も、「やってみれば!」と言ってもらえて、とても嬉しかったのを覚えています。失敗しても次がある、という雰囲気があり、その環境を「いちやま学校」と呼ぶ人もいるほどで、その気があればどんどん勉強させてもらえます。
中村:私の顧問先の中でも、教育レベルの高い企業だと思います。小売業ではどうしても人財育成がおろそかになってしまうところが多いのですが、いちやまマートはコンプライアンス意識も高く、従業員の成長に結びついています。
パワハラを原因としたメンタル不調の相談を受けたのですが・・・
田辺:そんな我が社でも、これだけ多くの人が働いているわけですから、当然色々なことが起こります。ある日、店長から具合の悪そうな社員について相談があったのですが、本人から話を聞いてみると、パワハラを受けているというのです。しかし当時は私も知識が無くて、パワハラとメンタル不調を結びつけて考えることができず、体調不良は、ただの甘えかもしれないと思ってしまったのです。
山田:私たちは本社にいて、各店舗はそこから離れたところにあるわけですから、不調者の相談が来た時点で、もう重症化している人も多いんですね。早期発見のポイントなど、誰も学んでいないのですから、今から思えば当然なのですが、職場に出てこれなくなってしまってから、連絡が思うように取れなくなってしまってからの報告には、本当に困りました。休復職のルールも明文化されていなかったので、いつ診断書を出させるのか、誰がどうジャッジして復職させるのか、本当に不安でした。
田辺:また、長時間労働とメンタル不調の関係も勉強不足でした。長時間労働は恐ろしいものです。うつ状態で生産性が上がらないので、それをカバーするため長時間労働になったり、逆に長時間労働がうつ状態を招いたりする。当社も御多分に洩れず、以前は長時間労働を美徳化する文化がありました。頑張り屋ほど体調が悪くても、挽回しようとして長時間労働するので、気づいた時にはもう、休職せざるを得ないほど病状が悪化してしまい、そのまま退職してしまうケースも見受けられました。
不調者の取り扱いルールが無いことが、大きなリスクでした
山田:私は、何のルールもない中で、不調者の処遇を考えなければならない不安を感じていました。本人と連絡が取れない中、いきなりご家族に診断書を依頼しても断られてしまったり。休職者は収入の不安を抱えたまま休んでいるケースもありました。また、復職のタイミングもそうですが、復職後の措置などまったくわかりませんでした。今では、コンサルティングを受けて、主治医やご家族、そして産業医などの関係者と、どのタイミングでどう連携していくかが、すべてフローチャートに出来上りましたので、本当に安心しています。
田辺:やはりルールが無い中で不調者を取り扱うと、本人が不公平感や不安から、会社を敵視する可能性もあります。それは会社と従業員の無用なトラブルに発展しかねないリスクです。
実態調査の結果に、社長もがく然!
田辺:プラネットとの出会いは、すでに当社と顧問契約を結んでいるコンサルタントからの紹介でした。その頃、直近2年間で7名近い不調者が出てしまい、中には休職が長引いたり、重症化して会社を離れることになってしまう者もおりました。もちろん、就業規則の中に「休職」の項目はあったのですが、メンタル不調者に対応できる内容かどうか、と言われると自信がなく、見直しておきたい気持ちがありました。そんな時、タイミングよく紹介を受けたのです。
根岸さんから送られてきた「メンタルヘルス対策診断シート」という50問のテストに答えてしばらくすると、結果が送られてきました。それを社長と一緒に見たのですが、あまりの当社のリスクの大きさに、社長も私も愕然としてしまったのです。「これは、すぐに取り組もう!」ということになり、まさにコンサルティングを受けることを決めた瞬間でした。
その他、プラネットでは、ルール作りのみならず、その後の社内教育まで面倒見てくれることや、コンサルティングのステップ、ゴール、金額等が明確になっていたことが、依頼の決め手となりました。
豊富なひな形で、思ったより楽にルールが完成しました
山田:初めて部長からコンサルティングを受けることを聞いた時は、正直「えー、仕事が増える!どのくらいの作業量なのかしら・・・」という気持ちでした。それまで私も、不調者対応では苦労していたため、メンタルヘルス対策を進めたいとは感じていたのですが、どこから手を付けていいのか、取り組み方が分からない状態でした。そこで、詳しく話を聞いてみると、プラネット側で豊富なひな形を用意してくれ、それをこちらで加筆・修正などしていくとのことで、「これならできるかも。」と感じました。実際に作業が始まってみると、根岸さんとの時間はとても楽しく、あっという間に終わってしまった、というのが実感です。
中村:プラネットのひな形は、予めきちんとした規程の形になっており、いちやまマートの既存の規則の中に流し込むのが楽でした。他の規程と整合性を取っていくうちに、また別の規程を見直すなど、今回のコンサルティングをきっかけに「規程の大掃除」ができたのは、思わぬ副産物でした。
山田:それにしても、ひな形には助かりました。当初私が想像していた3分の一程度の労力で終えることができました。「ひな形さまさま」です(笑) そして、全ての行程や、次回やる事、などが常にはっきり示されるので、迷うことなくゴールまでたどり着くことができました。出来上がったルールを眺めて、どう社内に展開させていこうか、今はワクワクしています。数年後の当社の姿を考えて、メンタルヘルス対策とハラスメントを組み合わせた研修を計画しようか、など、以前には考えつかなかったようなプランが浮かんできたりします。
ハラスメント防止には、細かいルールが必要だと実感
田辺:今はこんな時代ですから、本当に色々な感性、価値観の人がいます。以前は良かったことでも、今はダメということが増えましたよね。うちには、最初に述べたような自由闊達な社風があるため、あまり細かいことまで言うのはどうか、という意見も、あるにはありました。
山田:私も最初、プラネットから提示された防止規程の細かさには驚きましたが、説明を受けるうち、次第に「この方がいい」と思えるようになりました。働く人に、具体的に当社の考えを述べることは大切だと感じたからです。いくら「ハラスメントはよくない」と教えたところで、「具体的にうちの職場では、どういうことがハラスメントなの?」ということを決めない限り、従業員にも説明しづらいのです。
田辺:確かに、厳しい指導とパワハラは線引きしづらいし、ちょっと服装をほめたくらいでセクハラという人がいるのも事実です。私は、問題の起きた職場に赴き、解決に当たったりすることもありますが、会社としてのルールが無いと、行為者(加害者)に対して、あなたはこのルールに反しているのでダメですよ、とハッキリ教えてあげられません。今では、禁止事項の該当項目にアンダーラインを引いて、本人に説明することができ、私としても迷いなく指導することができますし、相手の納得度も違います。
早期相談の決め手!24時間フリーダイヤルの健康相談を導入
山田:当社には、もともと健保組合の運営するメンタル相談窓口があったのですが、時間的・地理的に全従業員とその家族に公平に使ってもらえるものではありませんでした。また、いちやまマート独自の窓口でもありませんでしたから、従業員にとって、そんなに身近なものではなかったかもしれません。
プラネットから紹介された外部相談窓口のコールセンターに見学に行くと、白衣を着た看護師が大勢並んで電話を受けており、壮観でした。そこにはたくさんの医療関係の書籍なども並び、知識量が全然違う、と感じましたね。24時間医師も常駐しているとのことで、体の相談も心の相談も、一つの窓口でできるのがメリットだと思いました。
田辺:震災の時にも稼働していたのはここだけ、と聞き安心感を持ちました。家族にも気軽に使ってもらえる窓口にしていきたいです。そして、メンタルヘルス研修で学んだ「早期発見、早期相談」を実践してもらえればと考えています。
中村:私もコールセンターの見学に同行しましたが、まさに新しい形の福利厚生だと思いましたね。